オランダの産後ケア「クラームゾルフ」体験記|2人の出産で比べてみた(予約時期・内容・費用)
公開: 2026-07-15
オランダで出産すると、産後は驚くほどすぐに家に帰されます。その代わりにあるのが、オランダ名物の産後ケア「クラームゾルフ(kraamzorg)」。専門のケアスタッフが産後1週間強、毎日自宅に来てくれる制度です。
私は2024年に長女を、2026年に長男をハーグで出産して、クラームゾルフを2回経験しました。1人目はフリーランスの方に、2人目はエージェンシー(BabyCare Kraamzorg)にお願いして、それぞれ違う良さがありました。この記事では、予約のタイミングから1日の過ごし方、請求書ベースの費用まで、2回の実体験を比べながら書いていきます。
クラームゾルフとは?
産後の約8〜10日間(kraamtijd)、専門のケアスタッフが毎日自宅に来て、母子のケアと家事のサポートをしてくれるオランダの制度です。期間中トータルの目安は40時間台(1日5〜7時間くらい)。基礎保険でカバーされる仕組みですが、時間あたりの自己負担(eigen bijdrage)が発生します(金額は年によって変わるので、契約時と保険会社にご確認を)。
この「クラームゾルフの1週間」には、担当助産師さんの産後訪問も組み合わさります。私の場合は3回ほど来てくれて、母体の回復や赤ちゃんの様子の問診・確認をしてくれました。そのうち1回では**hielprik(かかと採血。生後72時間以降に行う新生児スクリーニング)**もありました。クラームゾルフは毎日の様子をレポートにまとめて助産師さんと連携してくれるので、病院に行かなくても、産後に必要なことが自宅で一通り完結するようにできています。
予約はいつすればいい?【実録】
「クラームゾルフは早く予約しないと埋まる」とよく言われます。私の実際のタイミングはこうでした。
| 長女(2024) | 長男(2026) | |
|---|---|---|
| お願いした先 | フリーランスの方(夫の同僚の紹介) | BabyCare Kraamzorg(エージェンシー) |
| 最初の連絡 | 妊娠12週 | 妊娠16週 |
| 予約確定まで | 2日後 | 電話で即日 |
| インテイク(産前面談) | 31週 | 30週 |
一般には「16週までに」と案内されることが多く、うちは2回ともその範囲ですんなり決まりました。いずれも、フリーランスでもエージェンシーでもインテイクは30〜31週と同じ時期でした。インテイクでは自宅を見ながら産後の段取りを相談します。介助しやすいようにベッドの高さを床から70〜80cmにしてほしい、といった具体的な準備の話もこのときに出ます。2人目のときは、産前に専用アプリをダウンロードして、オンラインの出産や産後の赤ちゃんのお世話に関して学習できるメディアコンテンツ(1時間分)もありました。
「予定日がずれたらどうなるの?」と心配になるかもしれませんが、出産予定日がずれるのはよくあることなので大丈夫。状況をこまめに伝えておけばその都度調整してくれますし、予定日が近づくと、むしろ向こうから様子を聞いてくれることも多かったです。
長女のとき(2024年):初めての育児を基礎から教えてもらう
1人目は、夫の同僚に紹介してもらったフリーランスの方にお願いしました。出産翌日(退院日)の午後から来てくれて、以降は毎日9時から16時の7時間。計7日間・49時間という手厚さでした。
初めての育児だったので、ミルクのあげ方、ゲップのさせ方、お風呂の入れ方——本当に基礎の基礎から教えてもらえたのが何よりありがたかったです。母乳がなかなか出ずに悩んでいたときには、ラクテーションコンサルタント(母乳の専門コンサルタント)に連絡を取って自宅に呼んでくれました。「誰に相談すればいいのか」すら分からない時期に、適切な専門家につないでくれるのもクラームゾルフの大事な役割です(母乳の話は長くなるので別記事で)。
一方で、正直に書くと、時間の融通がきく分、予定がアバウトになりがちな面もありました。こちらも「何をお願いしていいのか」の勝手が分からず、手持ち無沙汰な時間を作ってしまったのは反省点。初めての産後は、お願いする側にも経験値が必要なんだと思います。
長男のとき(2026年):段取りのプロが家を回してくれる
2人目は BabyCare Kraamzorg https://babycarekraamzorg.nl/ にお願いしました。ケアは8日間・計44時間。連絡のタイミングは、陣痛が始まって病院に向かうとき、出産したとき、病院を出るとき——の3回。その都度状況を伝えて到着時間を調整してくれて、初日は病院の退院OKがなかなか出ずに帰宅が午後になったのですが、家に着いて間もなく来てくれました(この日は2時間半)。2日目以降は1日5〜6時間半で、日を追うごとに少しずつ時間を減らしていく段取りでした。
毎日の流れはだいたいこう。
- 朝来たらまず寝室へ。私と長男の体調チェックと、「昨晩はどうだった?今日はどうしてほしい?」のヒアリング
- 長男をリビングに連れて行って、私を寝かせてくれる
- その間に浴室とトイレを重点的に掃除。家全体に掃除機もかけてくれる
- お昼前になると、冷蔵庫にあるものでパパッと素敵なランチを作ってくれる
- 午後は長男を見ながら、その日のケアのレポートを作成。助産師さんとの連携もここから
特に感動したのがランチでした。ただ作ってくれるだけじゃなくて、盛り付けまできれいで、産後のぼろぼろの時期に「ちゃんとした食事の時間」を持たせてもらえたこと。家族の負担が減った以上に、私にとって毎日の気持ちの良い時間になりました。

担当してくれたのはオランダ人の方で、とても合理的な仕事ぶり。「食事や細やかさは日本式のほうが合うのでは」と思い込んでいた私ですが、任せて、休んで、家を回してもらう——このオランダ流に、日本人の私も大満足でした。1人目の反省(お願い下手)もあったとはいえ、スタッフさんの側がイニシアティブを持ってどんどん動いてくれるのは、上の子もいる2人目育児では本当に助かりました。
費用はどのくらい?【請求書の実額】
2回分の請求書から、実際の数字を出してみます。
| 長女(2024) | 長男(2026) | |
|---|---|---|
| 時給 | €63.05 | €76.88 |
| ケア時間 | 49時間・7日間 | 44時間・8日間 |
| 産前費用 | インテイク €106.91+登録料 €15.84 | インテイク €119.04+事前講習 €76.88 |
| 合計 | €3,212.20 | €3,501.76 |
| 請求の流れ | 保険会社へ直接請求 | 本人宛て請求 → 立て替えて保険に請求 |
目を引くのは時給の上がり方で、2年で約22%アップ。もちろんフリーランスとエージェンシーで同一のサービスではないので完全な比較はできませんが、オランダの物価上昇を表しているのかもしれません。うちは加入していた保険でどちらも全額カバーされましたが、オランダの公的保険(basisverzekering)の場合は補助される金額の枠が決まっており、そこからはみ出た分については時間あたりの自己負担がかかると言われています。請求の流れも「保険へ直接」「一旦立て替え」と事業者によって違ったので、契約時に確認しておくと安心です。
まとめ:2回頼んでみて思うこと
- 連絡は12〜16週で十分間に合った(フリーランスは2日、エージェンシーは即日で確定)
- インテイクは事業者が違ってもどちらも30〜31週だった
- 産後は毎日のケア+助産師の訪問3回(hielprik含む)で、自宅にいながら必要なことが完結する
- 1人目は「基礎から教えてもらう」、2人目は「家を回してもらう」——求めるものが変わっても応えてくれる制度
- 費用は約€3,200〜3,500。保険のカバー範囲と請求の流れは契約時に要確認
なお、この記事は私個人の体験談(2024年・2026年)で、金額は当時の請求書の実額です。制度や自己負担額は変わることがあるので、最新情報は保険会社やクラームゾルフ事業者の公式情報でご確認くださいね。出産全体の流れは出産体験記にも書いています。