デンハーグの「静かなほうの海」カイクダウン(Kijkduin)に住むのはアリ?|家探しで何度も通った正直な検討
公開: 2026-08-18
デンハーグの気になる街を実際に見て「住むならどうか」を考える、ハーグのエリア巡りシリーズ。ビンクホルスト、Statenkwartier、Zeeheldenkwartierに続く第4弾は、海辺の街 Kijkduin(カイクダウン) です。
デンハーグにはビーチが二つあります。有名なのは観光地としてにぎわうスケフェニンゲン。もう一つが、この Kijkduin──地元で「静かなほうの海」と呼ばれるエリアです。
実はここ、うちにとっては「一度見に行った街」ではありません。昨年の家探しのとき、何度も何度も通った候補地でした。今回あらためて家族で行ってきたので、その積み重ねた印象ごと書きます。
Kijkduin ってどこ?どんな場所?
Kijkduin はデンハーグの南西の端、砂丘(Duin)に囲まれた海辺の小さなビーチタウンです。中心部からは市内でいちばん遠い部類のエリアで、後ろは延々と続く砂丘の自然保護区。スケフェニンゲンの喧騒とはまるで別世界の、のんびりした空気が流れています。
デンハーグの南西の端。市の中心部からは砂丘沿いにぐるっと回り込む位置です
なお、正確に言うと「Kijkduin」は海辺の一角の名前で、家探しの対象として見ていたのは Kijkduin を中心とするもう少し広い地域──行政区でいう Loosduinen(ロースダウネン) です。この記事では、その一帯をまとめて扱います。
なぜ候補だったか——ISHが近い
そもそも、なぜ市内でいちばん遠いこのエリアを何度も見に行っていたのか。理由ははっきりしていて、インターナショナルスクールの ISH(International School of The Hague) が近いからです。
オランダに定着して、子どもをインターに通わせるなら、学校の近くに住むのがいちばん合理的。その条件で地図を見ると、Kijkduin/Loosduinen 一帯が候補に挙がってくるわけです。同じ発想で家を探す外国人ファミリーは、きっと少なくないと思います。
再開発で何が変わったのか
市の公式情報によると、「Kijkduin vernieuwt(カイクダウンは生まれ変わる)」と銘打った再開発は、もう完成間近だそうです(デンハーグ市の公式ページ)。
- 新しいショッピングセンター(飲食店・アパートメント・地下駐車場つき)が建設中で、一部はすでにオープン
- 266戸の住宅(うち81戸以上が賃貸アパート)。最初の3棟にはすでに人が住んでいて、残り4棟も建設中
- 海沿いの**新しいboulevard(遊歩道)**と Deltaplein 広場は完成済み
- 昔からあった遊具の船、メリーゴーラウンド、小さな灯台も戻ってきた
さらに、砂丘に面した新築プロジェクト「Duinhil」が2026年第4四半期に着工予定・工期約3年(Duinhil公式)。旧NHホテルの跡地にも新しいホテルと住宅の計画が報じられています(Omroep West)。つまり、まだしばらく工事は続きます。
何度も通って見えた、正直なところ
箱はできた。中身はこれから
新しい建物は、たしかにどんどん建っています。でも歩いてみると、1階のテナント部分が埋まりきっていないのが分かります。とくに海沿いは「TE HUUR(テナント募集)」の貼り紙が目につきました。

新築の足元に砂丘の草。建物はできても、街としてはまだこれから

海側の新築群。きれいだけれど、1階の店舗区画にはまだ空きが
ビンクホルストで感じたのと同じ、「まだ育ち中」の空気。あちらは旧工業地帯、こちらは海辺という違いはあるけれど、「完成予想図は素敵、現地はまだ静か」という構図はよく似ています。
住宅は二極化している
家探しで物件を見ていて感じたのは、このエリアの住宅の二極化です。
- 新しい物件は、高い。海沿いの新規プロジェクトは次々出てくるけれど、正直、全然手が届くところにない
- そうでない物件は、かなり古い印象。中間がなかなか無い
「ISHに近くて、手頃で、そこそこ新しい家」という都合のいい物件は、少なくとも私たちが探していた間には出てきませんでした。
週末のお出かけ先としては、かなり良い
住む場所としては見送ったのですが、週末にちょっと遊びに行くなら、ここは楽しいです。
まず、海がきれい。そしてスケフェニンゲンほど人がいない。砂丘の中の小道を抜けてビーチに出る、この道のりだけでも気持ちがいい。

砂丘の小道を抜けるとビーチへ。晴れた日の散歩には本当に良いところです
新しくできた建物もきれいで、お昼を食べられる場所もちゃんとあります。新しい商業施設の玄関口はフードコート「Daily Taste」。スーパーの PLUS、パン屋の Bakkerij van Kempen、インドネシア系の Warung Mini などが並んでいて、テラス席でくつろぐ人の姿もありました。

ここが新しい商業エリアの玄関口。フードコート・スーパー・パン屋が一列に
中に入ると生鮮マーケットがあって、チーズや惣菜、フルーツが並ぶ空間はなかなか本格的。

新しい商業施設の中の生鮮マーケット。コーヒーカーが目印

果物や惣菜の並びも充実。「寂しい」と書きましたが、中身は少しずつ育っています
うちのおすすめは、Seafood Kijkduin のフィッシュバケツ。オランダ名物のキベリング(白身魚のフリット)がバケツで出てきて、家族でつつくのにちょうどいい。子どものために頼んだつもりが、正直、親のほうが嬉しかったお昼です。

ファミリーサイズのフィッシュバケツ。ソース3種つき。これは正義です
で、住むのはアリ?——家探しで通った結論
エリア巡り恒例の検討を。今回は「何度も通って、結局選ばなかった」側からの結論です。
- ISH にインター通学するなら、立地としては合理的。この目的があるなら候補に入れる価値は十分あります
- ただし住宅は二極化していて、新しい物件は手が届かず、手頃な物件はかなり古い。予算と築年数のどちらかで妥協が要ります
- 生活面では、車が前提。中心部から遠く、「今日はあそこに行こう」の選択肢もまだ少ない。再開発でこれから増えていくのでしょうが、それは「これから」の話
- 一方、週末のお出かけ先としては文句なし。きれいな海、人の少なさ、砂丘の散歩、新しい施設でのランチ。「住む」と「遊びに行く」で評価がはっきり分かれる街です
- 街の表情が場所によってかなり変わるのも歩いて感じたところ。海側は落ち着いた雰囲気で、少し内陸に入ると通りごとに景色が変わります。大通りを挟んで、片側はゆったりした大きな家が並ぶ静かなエリア、もう片側はもっと生活感のある街並み。内陸側ではファミリー層をよく見かけました。メインストリートには多国籍なお店が並んでいて、国際色のあるにぎやかさがあります
きれいになった Kijkduin を見て「いいなあ」と思ったのは本当です。でも「いいなあ」と「住める」のあいだには、生活という距離がありました。まだ育ち中──それがこの街の現在地だと思います。
まとめ
- Kijkduin はデンハーグの「静かなほうの海」。広くは Loosduinen 地域で、再開発で新しいショッピングセンター・266戸の住宅・遊歩道が生まれつつある
- ISH(インターナショナルスクール)が近く、インター通学前提の家探しでは候補になる
- 住宅は「新しくて高い」か「手頃だが古い」の二極化。中間はなかなか出ない
- 箱はできたがテナントはまだ。街としては育ち中。ただし週末のお出かけ先としては、海・砂丘・ランチが揃っていて優秀
ハーグのエリア巡り、他の街はこちら。
家探しの実体験はFundaでの家探し実践記と家を買う?借りる?もどうぞ。
※再開発の計画・戸数は2026年8月時点でデンハーグ市の公式ページ等から確認した情報です。計画は変わることがあるので、最新情報は必ず公式でご確認ください。エリアの評価は我が家の家探し・訪問の実体験に基づく個人の感想です。