デンハーグのZeeheldenkwartier(ゼーヘルデンクワルティア)ってどんな街?|7年住んだ行きつけの店と正直な検討

公開: 2026-08-17

デンハーグの気になる街を実際に見て「住むならどうか」を考える、ハーグのエリア巡りシリーズ。ビンクホルストStatenkwartierに続く第3弾は、Zeeheldenkwartier(ゼーヘルデンクワルティア)

今回は、シリーズの中でもいちばん思い入れのある街です。夫が独身時代の約7年(2017年〜2024年)を過ごし、そして私のオランダ生活が始まった街だからです。

Zeeheldenkwartier ってどんな街?

Zeeheldenkwartier は、デンハーグ中心部のすぐ北西にある地区。名前は「zeehelden(海の英雄たち)+ kwartier(地区)」で、通りの名前はオランダ海軍の提督たちから取られています。

デンハーグ中心部のすぐ北西。平和宮や大使館エリアにも歩いて出られる位置です

歴史は古くて、着工は1868年。もとは「‘t Kleine Veentje」と呼ばれる牧草地で、その大部分はアンナ・パウローナ王妃(国王ウィレム2世の妃)の所有地でした。王妃の死後に宅地化され、1870〜1890年に現在の街並みの大半ができあがります(Wikipedia)。

つまり150年もの。現在はハーグに19ある保護都市景観(beschermd stadsgezicht) のひとつに指定されています(Monumentenzorg Den Haag)。

それでいて、古いだけの街ではありません。住民は約1.2万人・25カ国籍という多文化地区で、Prins Hendrikstraat・Piet Heinstraat・Zoutmanstraat といった商店街には、個性的な雑貨店、ヴィンテージショップ、ギャラリー、カフェが並びます。毎週木曜にはオーガニック市、春にはアスパラガス祭、秋にはムール貝祭という食のイベントまである(地区公式サイト)。「古い街並み × ヒップな店」が同居しているのが、この街の顔です。

7年通った行きつけの店

7年住むと、行きつけは増えます。いま思い出しても「あれは良かった」という店を挙げてみます。

Marius Wijnwinkel(ワイン屋)

人の家に呼ばれたときの手土産の赤ワインは、いつもここで買っていました。うちはワインに詳しくないのですが、「複雑みのある赤を」とお願いすると毎回ちゃんと選んでくれて、持っていって外したことがない

地味にありがたかったのが、日本酒も置いていること。日本になかなか帰れなかった時期、夫の同僚への贈り物にスパークリング日本酒を買えたのは助かりました。

ストライプのオーニングが目印のワイン屋Marius

ストライプのオーニングが目印。入口の黒板に、その時々のおすすめが書いてあります

Bouiss(肉屋)

ここは本当に良かった。モロッコ系の店主が営むハラールのお肉屋さんで、お肉が新鮮で美味しい。

そして何より、人がいい。店主はとても気さくで、たぶん息子さん(よく似ていたので)と親子で店に立っていて、いつも気持ちよく買い物ができました。「ローストビーフ/ラムシチューに使いたいんだけど、どの肉がいい?」と聞けば、ちゃんとそれぞれ教えてくれるし、包丁の入れ方まで教えてくれたことも。料理名で相談できる肉屋は、本当に頼りになります。

巨大なソーセージのオブジェが目印のBouiss

店先の巨大ソーセージが目印。見た目はワイルドですが、中身は確かです

Mikros(スーパー)

夜遅くまでやっているスーパー。中東系のベーカリーが併設されていて、バクラヴァをよく買っていました。「あと一品」「急に甘いもの」に強い店です。そういえばこの界隈では、クリスマス時期になると店先のディスプレイに丸鶏を並べる店が現れます。一匹買ってみたら、外はパリパリ、中はジューシーで香草も効いていて、とても美味しかったです。

Sushi Tokyo(テイクアウト)

夫がコロナの時期によく利用したお寿司のテイクアウトだったそうで、でも、実は美味しかったのはフォーと生春巻きだったと。寿司屋でフォーを推すのもどうかと思いますが、ベトナム料理はCentrumに固まっていたことがあり重宝したようで。

De Bonte Koe(チョコレート)

チョコレートの量り売りの店子どもがいるお宅や、アルコールを飲まないご家庭への手土産はここでした。ワインの Marius と使い分けると、手土産問題はこの街で完結します。

Single Estate Coffee Roasters(コーヒー)

Piet Heinstraat の角の美しいレンガの建物に入っている、自家焙煎のスペシャルティコーヒー店です(公式サイト)。豆も買えて、ペイストリーもある。コーヒー好きなら、この店があるだけでこの街に住む理由になると思います。

Single Estate Coffee Roastersの入口

角地の入口。天気のいい日は外の席が埋まります

De Haagse Kinderboekhandel(子どもの絵本専門店)

Piet Heinplein の角にある黄色い建物が、子どもの絵本の専門店です。「Alice in Wonderland」の看板が目印。広場のベンチで、買ってもらった絵本をさっそく開いている子をよく見かけます。

Piet Heinpleinの角にあるHaagse Kinderboekhandel

黄色い角の建物が絵本屋さん。前の広場にはベンチがあって、ちょっとした休憩スポットです

夫が7年住み続けた理由

夫がこの街の端っこ、Laan van Meerdervoort 沿いに住み始めたのは2017年10月。理由を聞くと、こう返ってきました。

劇的な理由がないのが、いちばんの理由。「不満がないから7年いた」というのは、住宅としてかなりの褒め言葉だと思います。

元オフィスの最上階、という変わった家

この家、もともとは会社・事務所として使われていた建物でした。2017年に集合住宅へ全面改装されて、夫が入居したのはその直後。最上階の部屋はおそらく改装時に増築された部分で、だから「ほぼ新築」の状態だったわけです。オフィス転用ならではの大きな窓で、部屋はとても明るかった。

ただ、変則的な建物でもありました。

オランダの古い建物あるあるが全部盛りです。独身なら「味がある」で済みますが、ベビーカーと子どもを抱えて暮らせるかというと……この時点でお察しのとおりでした。

「眺めが良かった」の中身

その「眺め」がこれです。窓の外に見えていたのは、由緒ある学校 Gymnasium Haganum の塔でした。ラテン語・ギリシャ語を教える伝統校で、「とても賢い学校」として知られているそう。実際、知り合いにここの出身者がいます。

夕暮れのGymnasium Haganum。塔の上に月が出ている

夕暮れどきの Haganum と月。この眺めが毎晩の日常でした

そして反対側に目をやると、平和宮(Peace Palace)の塔まで見えました。

夕焼けに染まる街並みの向こうに平和宮の塔が見える

夕焼けの向こうに平和宮の塔。「国際都市ハーグに住んでいる」と実感する景色です

歴史ある学校の塔と、国際司法の象徴の塔。この2つが窓から見える部屋なら、7年いた理由も分かってもらえるのではないでしょうか。

私のオランダ生活が始まった街

私にとってのこの街は、また少し違う意味を持っています。

オランダに来て最初の半年、私はここで暮らしました。語学学校に通い始めたのもこの街から。そして、妊娠が分かったのも、つわりの初期を過ごしたのもこの街です(そのあたりの話は妊婦健診の記事に書きました)。

慣れない国での最初の生活拠点としては、いま思えばかなり恵まれていました。徒歩圏に商店街もスーパーもあって、街並みは美しくて、大使館のあたりから坂を登っていく道は、いまでも夫婦の定番散歩コースです。

余談ですが、以前書いた身に覚えのない水漏れの責任を押し付けられた事件の舞台も、実はこの家です。7年も住んでいると、建物のオーナーは変わらなくても、管理会社が何度か変わることがあります。入居時の対応が良くても、管理会社が変わった途端に悪くなることもある——あの事件は、ちょうど管理会社が変わった矢先の出来事でした。

で、住むのはアリ?——7年住んだ結論

エリア巡り恒例の検討を。これも「住んだ結論」です。

ライフステージで言えば、「独身〜子どもが生まれるまでの最強エリア」。私たちの結論はこれです。

まとめ

ハーグのエリア巡り、他の街はこちら。

※お店の情報は2026年8月時点のものです。営業時間・品揃えは変わることがあるので、お出かけ前にご確認ください。家賃は当時の実体験で、現在の相場とは異なります。